自作『枠連ターゲット』を中心に、馬券を斜めから読む方に情報を提供します!

裏1章

 

裏1章~ホンマに当たるんかいな

 

 

ブルル、ブルル、2回、3回、4回。

オレは非通知でかけるような卑怯なことはしない。


だが、まったく見たことのない番号が点滅してるのをみて、

まさに今、どうぜ偽名の竹岡氏は悩んでいるはずだ。


誰だ、こいつは。取れ、電話取れ。取ってくれ。

 

「竹岡です」

 

うわぁっ、取りよった。ほんまにとりよった。

 

「もも、もしもし」

 

くそっ、なんでこっちが緊張しやなあかんねん。


「こんばんわ。はじめて電話します。私S言います。

大阪で馬券師やらしてもうてます」


どうせ信じとらんはずや。警戒レベル沸点上昇ちゃうか。


「もう20年競馬で負けたことあらしません」


本当は負けたことありありやし、第一20年ちごうて10年やけど、

ここはちょっとみえはっとこ。


 「実は最近、必勝法なるものを編み出しましてん。

毎週毎週まぁ勝ちまんねん。家でもかぁちゃんと2人で大騒ぎですわ」


絶対信用しとらん、するわけない、オレでもせえへんわ。


「そうですか。すごいですね。やったじゃないですか。」


心にもないくせに。とりあえず社交辞令ちゅうやつやな。


「どんな方法なんですか。万馬券をバシバシあてるんですか。

それとも複勝ころがしですか?」


質問してきよった。信じてへんくせに質問してきよった。

おちょくり作戦か。あかんあかん、負けたらあかん。


それよりなにより、東京弁が鼻につくな。東京者はみな敵じゃ。


「いや、そんなんちゃいます。いつもあほバカ馬券ばっかり

買ってる竹岡はんにはわからんと思いますわ。

そもそも必勝法ちゅうのはほとんど毎回勝たんなあきまへん。

一年負け続け有馬記念で大万馬券的中で今年も一年通して

プラスは反則ですわな。」


言うたった言うたった。


「そこをなんとかお願いできませんか?あなたが本当に勝つのを

何か証明できたりできないですか?」


確かにそうや。自慢はしたかったけど、証明しろといわれたら困った。

予想を竹岡氏に配信して勝つしかないな。

 

カバンから収支表をまさぐり出した。

 

=大脱走収支一覧表=

 

大脱走、私の馬券戦略の名前である。

収支一覧によると3連敗は一度あるがほとんど勝っている。

しかも3連敗のつぎの日、大勝ちしている。

4日さえチャンスもらえたら勝てる。

 

問題は女房だ。

誰にも言ったらあかんで、ときつ~く言われている。

誰がこわいて女房に怒られるのが一番こわい。

でも、方法を教えるわけではない。

あくまで買い目を伝えるだけだ。大丈夫やろ。


「なんとか買い目だけでも教えてもらえませんか?

お金はちゃんと払います」


なななに、金まで払うと言うのか。


いや、そこちゃうねん。オレがひっかかってんのは女房だ。

女房がこわい。


「参ったな。かぁちゃんに何て言おう。わかりました。

じゃあ、4日あったら必ず勝つので2週間4回配信します。

朝9時頃には配信します。」


「金額と振り込み先はどうしたらよろしいですか」


こいつ、まじか?ほんまに振り込みよんのかいな。

でも、こうなったら意地でも振り込ますぞ。


「あとで金額と振り込み口座メールしときますわ」


「はい、よろしくお願いします。」

 

終わった。

 

30分はしゃべったかな。途中2回コーヒーおかわりした。

しかし、唐突に電話したために大変なことになってしまった。


確かに私は勝つ。


ただある定まった4日間で必ず勝てるのか?

確かに大脱走の収支ではそうなってる。


どの期間をとっても4日あれば勝つ。自分に自信を持て。


オレには大脱走があるやないか。

 

さっそく、振り込み口座をメールせねば。

あっ、金額や。いくらにしよう。5千円やったら高いかな。4千円。

いや、ちょっとまて、あの偽名野郎にたとえ1円でも振り込ます

ことが大事や。


2000円。

 

勝手にそうメールに打っていた。


大した意味はなかった。

 

どうせ、今ごろ、なんやあいつは、

どうせ冷やかしやろと思ってるに違いない。


振り込むわけがない。いや、でも本物がいそうでいない

この業界、気にはなってるはずや。でも電話でしゃべった

だけの何の信憑性もない話にたとえ2000円でも、

ふつう振り込まんよな。


それとも2000円高い?


そんなこんな考えてる時、メールがやってきた。


「振り込みました」


まじかよ、おいおい。もう指定の4日で勝つしかなかった。


翌朝通帳を記入しに行く。

まだほんまかどうかわからん。


タケオカタカフミ 2000  


ほんまに振り込みよった。

もう勝つ以外なかった。とりあえずは礼を言っとかなあかん。

あっ最近の成績も送っとこか。私は本当に振り込んできて

くれたことがうれしかった。


まずはそのことに応えたかった。


正直に直近4日間の成績をのせることにした。


だか正直にかくとすべて3万円前後が4万円くらいのそれはそれは

じみ~なものだった。


3万が300万てかきたい。

だか書いてしまったらこれからの4日間でばれてしまう。

やはり正直に載せるしかなかった。


たったこれだけ?


思いたかったら思え。


そして不安に満ちた土曜日を迎えることになる。


つづく